トランペットの名曲ならこれ!有名なトランペット協奏曲【ベスト3】
2023/01/23
「トランペットが活躍するクラシック音楽を聴きたいなぁ。」
そう思っても、実際に名曲と言われるものが沢山ありすぎて、どれから聴けばいいのか迷ってしまうと思います。
以前とは違い、今はスマホ等でいろんな情報をすぐに集められるので、なおさら分からなくなってしまいますね。
そこで、小さな頃から今までトランペットを吹き続けてきた私が、数ある名曲の中から厳選して三つ選んでみました^^
これを知らずしてトランペットは語れないと言えるほどの、名曲中の名曲!
本当にすばらしいの一言に尽きるような3曲ですよ^^
今回はトランペットの名曲の中でも、特に協奏曲に的を絞ってご紹介していきます。
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ハイドン作曲/トランペット協奏曲 変ホ長調
トランペット協奏曲でもっとも有名な曲はと問われるならば、ラッパ吹きであれば誰しも迷わずこの曲を上げるでしょう。音楽大学の入試では、実技の課題曲で必ず課せられる曲でもあります。ラッパ吹きの【鬼門】ですね。
トランペットの中でも名曲中の名曲が、このハイドン作曲のコンチェルトなのです。
作曲されたのは、今から200年以上前にさかのぼります。
ハイドン以前では、バルブ(今で言うピストン)が付いたトランペットはまだ存在して無くて、ナチュラルトランペットと言う『倍音しか音の出ない』楽器でした。
倍音は、高音域になると音階らしき音が出るのですが、中音や低音域ではド・ソ・ドしか音が出ません。
あとは『唇の締め方ゆるめ方』と『息を出すスピード(ブレスコントロール)』だけで、音域をコントロールしながら吹かなければなりません。ですから、ナチュラルトランペットを使った演奏の場合、大変高度な演奏テクニックを必要としたのです。
それが、当時ハイドンが活躍している時代に、バルブの付いたトランペットが発明されてからは、中音域でもドレミファソラシド・・と、音階が演奏可能となりました。
今までのナチュラルトランペットとは比べ物にならないほど、安定した音程で演奏出来るようになったわけです。
このトランペット協奏曲は、そんな時代の名曲なんですね^^
実はこのトランペット協奏曲には、深い想い出があります。
私がまだ小学生の頃、自宅前に住んでいた方が、音楽大学を目指していました。それで、来る日も来るも毎日、前の家からトランペットの同じメロディが聞こえてくるのです。
「あー、また始まったなあ」って感じです。「ミーーファーーソ、シミファソラシーーー」毎日よくも飽きもせずに同じ曲を練習するもんだと、関心しつつも半分あきれていました(笑)。
実はそれが、ハイドンの有名なコンチェルト(協奏曲)だと知ったのは、随分あとになってからです。
なので、私の潜在意識の奥深くには、知らず知らずにハイドンのトランペット協奏曲が染み込んでいます(笑)。
その影響かどうかは定かではありませんが、中学入学後すぐに吹奏楽部に入って、楽器はトロンボーン担当になったものの、トランペットの憧れは捨てきれず、高校~大学では迷わずトランペットに鞍替えして専念しました。
私の潜在意識には、間違いなくハイドンの名曲が刻み込まれていたに違いありません。
そんな想い出のある、ハイドン作曲のトランペット協奏曲。本格的にトランペットの練習を始める学生にとっては、絶対に避けて通れない必須中の必須の課題曲です。
この曲を完璧に吹きこなせるなら、コンクール上位入賞は間違いない!
オーケストラのトランペット奏者を名乗る人なら、「うん、その通りだ」とうなずくはずです。
一見かんたんそうで、こんなにも難しい名曲は無いのです。
フンメル作曲/トランペット協奏曲 変ホ長調
ハイドンがトランペット協奏曲を作曲した1800年から、わずか3年後に作曲されて世に出たのが、フンメルが作曲したトランペット協奏曲です。
ハイドン同様、昔も今もトランペット協奏曲の双璧を成すほどの重要な曲であり、やはり音楽大学の実技の課題曲やコンクールの課題曲に取り上げられる重要なレパートリーとなります。
ハイドンの協奏曲は、いかにも古典派の音楽だと思わせるような、骨格がしっかりした『真面目な』音楽という印象ですが、一方のフンメルのほうは、とても同時代に作曲されたとは思えないほどの華やかさがあります。
特に、第二楽章の哀愁と郷愁に満ち溢れた穏やかな音の流れには、思わずうなってしまいます。
すでにロマン派の香りが満ちあふれていて、ハイドンの時代に作曲されたとは思えない美しさがあります。
このフンメルの協奏曲を初めて聴いたのは、高校生の時にテレビでNHK交響楽団の演奏会を放映していたときです。トランペット協奏曲と言えばハイドンしか知らなくて、フンメルを聴いた時の驚きと言ったら、もう言葉にはならないほどでした。
「こんなにカッコイイ協奏曲があったんだ」(笑)本当にそう思いました。
当時は(もう40年前!)、テレビの録画など出来るはずもなく、レコード屋へ行って(昔はCDなど無かった!)必死になって探しても、そんなマニアックな曲のレコード盤は無くて・・・。
まぁいつもそんな調子で、テレビやラジオで見聞きして記憶している部分だけを何とか思い出しながら、自分で練習したものです。
そのうちに、ラジオのFM放送でこの曲が流れるのをチェックして早速録音!久しぶりに聴いたフンメルのコンチェルトには、感激もひとしおです!
録音したなら、もうこっちのもの!楽譜など無くても、音だけ探っていきながら全曲演奏が可能になったのです(笑)。
都会の高校生ならば、楽器店へ行けばすぐに楽譜が手に入るのでしょう。でも、悲しいかな、いなかの高校生では、そうはいきません。
何をするにも、いちいち遠回りしなければいけない環境なのです。でも、その分しっかり音楽そのものが身に付いたのではないかとも思うのです。
一つずつ音を拾って音符にしていき、あとは練習を重ねて身体で覚えていく、そんな練習方法だったわけです。
そんなこんなで、私にとってのフンメルのトランペット協奏曲は、ハイドン以上に思い出深いのです^^
アルチュニアン作曲/トランペット協奏曲 変イ長調
チモフェイ・ドクシツェルという旧ソ連の有名なトランペット奏者のために作曲されました。1950年頃の作曲という事ですから、今から60年ほど前の時代。ハイドンやフンメルとは違って、まさに現代に作曲された音楽と言えます。
さすがに現代の曲だけあって、曲の始まりとともに、いきなりトランペットがちょっと暗めなイメージの演奏を始めます。
しばらくすると、軽快なテンポに変わって、リズミカルに細かいパッセージ(音符・メロディのこと)を鮮やかな『タンギンク』で吹きこなす華やかな演奏が展開されていきます。
全体には、フンメルやハイドンと比べると華やかさが全く違っていて、音の動きや表情の幅広さなどにおいても、やはり現代の音楽だなあと感じます。
特に、ゆったりした場面では、ジプシー的な哀愁を帯びた感覚や、アルメニア的な要素(ちょっと難しいかも)も聞き取れるところが、何とも魅力的です。
ちなみに、この『アルメニア的』と言う表現は、たとえば誰でも知ってるこの有名な曲も『アルメニア的な』音楽なんですね。
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ところで、前述の『タンギング』。
金管楽器奏者が音を出すときは、唇で「トゥー」という発音をしながら息を吐き出して音を出すわけですが、この「トゥー」自体をタンギングと言います。
このタンキングが、アルチュニアンのような協奏曲ではとても大切な要素になります。
これが天才奏者であるドクシチェルの手にかかると、まさに鮮やかなるタンギングで華麗な演奏を披露してくれるのですね^^
これも私が高校生時代に、前述のチモフェイ・ドクシツェルが来日して各地で演奏会を開き、FM放送でもその演奏会が流されました。その時の曲が、このアルチュニアンの協奏曲だったのです。
それはそうですよね。まさに、自分のために作曲されたトランペット協奏曲なんですから!
ラジオから流れる柔らかくて伸びの有る美しいトランペットの音には、すっかり打ちのめされました。
こんな世界があるのかと、心底から感嘆したわけです^^
「音楽の友」というクラシック専門誌を買って、そこには全面広告でドクシツェルがトランペットを演奏している写真が掲載されていました!
そのアンブシュア(楽器を演奏する時の「唇の形」を指します)を、手鏡を見ながら同じようなアンブシュアになるよう真似ました。来る日も来る日も!
とにかく、彼のように輝かしい音が出したいとの一心で、少しでも上手くなりたいと練習を続けたのです。
名曲と名演奏は、かくも人を引き付けるものですね^^
トランペットの名曲ならこれ!『まとめ』
さて、いかがでしたでしょうか?最後にもう一度、今回ご紹介した三つのトランペット協奏曲を確認しておきましょう。
- ハイドン作曲/トランペット協奏曲 変ホ長調
- フンメル作曲/トランペット協奏曲 変ホ長調
- アルチュニアン作曲/トランペット協奏曲 変イ長調
名曲と言われるものは他にもたくさんありますので、とにかく片っ端から聴いてみるのもいいと思います。
聴けば聴くほど奥が深くなっていきます。それがクラシック音楽のおもしろさなんですね^^
最後までお読みいただき、本当にありがとうございました!