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ブルックナー交響曲第7番の名盤!この名演が最高に美しい!

      2023/01/23

さて、ドイツロマン派の巨匠ブルックナーが歴史に残した大傑作です。

ブルックナー作曲の交響曲第7番 第1楽章は、曲の冒頭からすぐに始まるチェロとホルンのソロによる流麗で美しい上昇音形が表れて、それがえもいわれぬ美しさを醸し出します。

第1楽章は全体を通して終始テンポがゆったりと穏やかに流れ、速めのテンポで気忙しい雰囲気になる場面がありません。


それだけに、じっくりとソファにでも深く腰掛けながら、心ゆくまで充分に堪能したい名曲なのです。

そんなブルックナー7番の名演を、今回はじっくり腰をすえて聴いてみましょう。


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ブルックナー作曲/交響曲第7番 第1楽章

7番は、何と言っても第一楽章と第二楽章が、雄大に大河が流れる悠久の歴史を思わせるかの如く美しい名曲です。

とりわけ第一楽章は、天国的なまでにひときわ美しい流れに圧倒されるでしょう。


コーダ(その楽章の最終部分)は、ピアノ(静かな音)で始まりゆっくりじわじわと盛り上がっていき、やがて全ての楽器によりフォルテッシモ(大きな音)で壮大に演奏される様は息を呑むほどの大迫力!

まさに「宇宙」を感じるほどに感動しますよ。



熱狂的なブルックナー信者である私の独断で第7番の名演をひとつに絞るなら、迷うことなくチェリビダッケ指揮の演奏を推薦します。

その理由はただひとつ。
「神の如く美しいから」


さて、ブルックナー信奉者の総攻撃を恐れずに書かせて頂くならば、交響曲第7番の1楽章と4楽章のそれぞれ後半部分は、入れ替えてもいいのではないかと、つねづね思います。

と言うのも、7番の終楽章(4楽章)の終わり方は(指揮者によっても、かなりテンポが変わりますが)、テンポを早めに取った演奏の場合は特に、あまりにもあっさりと幕を閉じる雰囲気になってしまい、大交響曲には似つかわしくない終わり方になってしまうのです。

ブルックナーほどの大作曲家が魂を込めて書いた大作なので、私ごとき一介のブルックナーファンがとやかく言う事ではないのですが・・・
この全曲を最初から最後まで通して聴くと、常々そう感じてしまいます。

「そうそう!私もそう思う!」って方がいらっしゃったら嬉しいです。


ブルックナーの交響曲は全部で11曲!?

さて、ブルックナーの交響曲で一般的に広く聴かれていて有名なのが「ロマンティック」の副題が付いている交響曲第4番。

それと同じくらいに有名なのが、今回ご紹介する7番と8番そして9番の3曲で、いずれも1時間を超える大曲に仕上がっており、どれもが聴く者を感動の渦に巻き込む偉大なる傑作です。


「えっ?ブルックナーは全部で9曲の交響曲じゃないの?」と思われたかも知れません。

実はブルックナーは、最初に書いた交響曲には番号を付けておらず、また交響曲第1番の作曲後に書いた作品は、気に入らないけども捨てるにはもったいないとの事で、番号をあえて「0番」と名付けて世に出しています。

なので9曲プラス2曲で、全部で11曲の交響曲を作曲しているのです。

ここまで知っていると、かなりのクラシック通ですよ^^


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ブルックナーは、どれが一番美しいのか

もしも「ブルックナーの交響曲の中で一番好きなのをひとつだけ選べ」と言われるならば、4番「ロマンティック」と7・8・9番。
これら4曲の中のどれにするのかは最後の最後まで決められないほどに悩ましい、どれもが壮大な名曲であり大曲です。

ただ単に「美しい」「きれい」などの一言二言ではとても言い表せないのです。


それを承知の上で、ざっくり一言で説明するならば、7番は雄大に流れる大河の如し、8番は威風堂々たる大伽藍の如し、9番は遥か永遠なる宇宙の如し、と言ったところでしょうか。
それぞれが本当にあまりにも美しい。

特にブルックナーが最後に作曲した交響曲第9番は3楽章で終わっている未完の大作で、それがまた後世に大きな疑問を投げかけたまま幕を閉じる雰囲気に満ちており、とてもミステリアスなのですね。


話しを戻して、ブルックナーの交響曲の中で、どれが一番美しいかと聞かれるならば、その答えは「あえて3つに絞るならば7番・8番・9番」

どれもが最高に美しすぎるゆえに、それ以上には順列など付けられない」。

これが正直なところです^^


ブルックナーの交響曲第9番は、未完の大作で有名です

最悪だったシカゴ交響楽団来日コンサート

今から30年ほど前の来日演奏会雑感です。

昔も今も世界最強の超名門オケのひとつ、シカゴ交響楽団が来日。
大阪のシンフォニーホールでブルックナーの交響曲第7番と第8番を演奏するコンサートがありました。

「これは絶対逃すわけにはいかない!」
遠路はるばる愛車をカッ飛ばして聴きに行きました!

シカゴ交響楽団の特徴は、何と言っても「シカゴの金管」と絶賛されるほどの超一流のスタープレイヤーが勢ぞろいしている事、木管楽器群もまたしかり。

それほど物凄いオーケストラが、私が心から心酔するブルックナーを演奏するのですから、大いなる期待で超ワクワクしながら当日を待ちこがれたものです。


そしてその結果はと言えば・・・
あまりにも期待はずれ、途轍もなく残念な演奏会だったのです(泣)。

シカゴ交響楽団は超一流のスタープレイヤーばかりです
確かに全体としては、ダイナミックな演奏で世界の一流オーケストラには違いありませんでした。しかし、7番も8番もその演奏はフォルテッシモの部分になると決まってトランペットだけが「有り得ない大音量」でブワーッと飛び出してくる!

結果、金管楽器のバランスはもちろん、オーケストラ全体のバランスが相当乱れていました。
いくらアドルフ・ハーセス(首席奏者)がトランペットの神様であっても、「ちょっとこれはひどいなあ」と大きく落胆した残念な演奏だったのです。


バイオリンやチェロなどの弦楽器群も、よく言えば明るく鮮やかな音色なのですが、ブルックナー特有の宗教色の濃い大曲を演奏するには似つかわしくないと言うのが私の率直な感想でした。

分かりやすく言うならば、どこぞのポップスオーケストラでも聴いている感覚なのです。

要するに『やたらとジャズっぽい』


そして、ため息ばかりの極めつけは、大曲が終わった後の聴衆の盛大な拍手に応えたアンコール曲。

クラシックファン・ブルックナーファンであれば誰もが予想出来ない曲が突如!勢いよく始まったのです。

しかも、思いっきり明るく!!

はぁぁぁぁ???


有り得ないアンコール曲に大幻滅!

アンコールは何と「星条旗よ永遠なれ」!

「え~~~っ!!???・・・」



もう言葉にはならないほど、超複雑な気持ちです。
「こんなの絶対有り得ない!」と言った落胆の極みで終演した客席を後にしました。

通常、大曲であるブルックナーの交響曲を演奏した後にはアンコール曲はしないのが一般的です。

少なくとも私の経験上、聞いたことがありません。


あったとしても、もっと静かで厳かな選曲となるのがプログラムを組む上でのバランス配慮としては常識的だと思います。

それがよりにもよって第二のアメリカ国家とも言われる「星条旗よ永遠なれ」。


ちなみに、今年2017年5月の上岡敏之指揮/新日本フィルのブルックナー3番では、アンコール曲としてバッハの管弦楽組曲第3番よりアリア(「G線上のアリア」との別称で有名)が演奏されていました。

このような曲なら、演奏会全体の流れから見ても充分納得できるのです。


話を戻して・・

当日のシカゴ響は「ヤンキー魂を大盤振る舞いで演奏してやるよ」みたいな主催者側のサービス精神なのかも知れません。

しかし、これは大いなる幻滅以外の何物でもありませんでした。


もっと言うならば、ブルックナーの後に、こんな曲を演奏して欲しくはなかった

あまりにも酷すぎる。

ブルックナーの交響曲の後にアンコール曲は演奏しません

プログラム全体のバランスを考慮してほしい!

何も「星条旗よ永遠なれ」が悪い曲だと言うのではなくて、これ自体は快活で自由の国アメリカらしいマーチ(行進曲)だと思います。

でも、ブルックナーの大作の後にアンコール演奏する曲ではない。

絶対に有り得ません。

ブルックナーファンならば、皆さん同意して頂けるはずです。


しかし、演奏会終了後に大ホールを出てきた聴衆の表情は、総じてにこやかな笑顔で演奏を讃える人々が多かったのです。世界の超一流オケを聴けた満足感に酔いしれる方が多かったのでしょう。

近くの中年男性が「(アンコール曲の)あの音はヤンキーにしか出せない音だよ」的な感想を大声で満足げに話しているのが聞こえました。

・・・・あ~やめてほしい。
何にも分かってないなあ、この人。。

正直なところ、なえた気分に拍車がかかり、ますます不愉快になりました


確かにシカゴ交響楽団の音だけを聴きにきた演奏会であれば、「すげーなーシカゴは!」「やっぱり音が輝いてるな!!」「明るいサウンドだ」みたいに大満足なんでしょう。
その気持ちは理解出来ます。


でも、当日のブルックナーの演奏だけに焦点を合わせて論評するならば、やはりアンサンブル(各楽器のバランスの良し悪し)の粗雑さが目立ち、金管楽器だけが突出して聞こえ弦楽器群とのバランスの悪さも目立った。

総じて、世界の超一流レベルの演奏ではなかったのです。


「まとめ」伝統は守るもの!

(何度も書きますが)アンコール曲の選曲は、もはや「日本のブルックナーファンを小バカにしている」ようにさえ私には聴こえました。

超一流のオーケストラ演奏会だけに、返すがえすも残念至極な演奏会になったわけです。


ちなみに、西欧や旧東欧の交響楽団が来日してブルックナーを演奏したとしても、アンコール曲に「星条旗よ永遠なれ」みたいなとんでもなく場違いな曲を演奏するなど絶対にしません。有り得ない事なのです。

それが「本場の伝統」と言うものです。

伝統とは、あらゆる意味において『思考形式行動すべての継承』です。

欧州の歴史が刻み込まれた名オーケストラは、まず絶対に『確固たる伝統を遵守』します。
そこにこそ、味わい深い価値があるのです。


それにしても、演奏会2日分のチケット代、めっちゃ高かったのになあ。。

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